腎臓が悪い仔に、痛み止めを長期処方することが少ないのですが、処方してあげれそうな論文がありました。
痛いの我慢してる仔が、たぶん多いと思うので猫飼ってる方に選択肢が増えるかもで情報提供です。
(一部の獣医師の統計ですが、腎臓悪い子に痛み止めを長期処方している方は3割くらい)
内容を直接見たい方は右をクリック→論文のページへ
ポイントは
腎障害の治療がしっかり維持できていること。
痛み止めは、必要最低量に調整すること。
メロキシカムとロべナコキシブ以外は、まだ情報ないので不明。
IRISステージ1および2の猫。
ちゃんと検査などモニタリングすること。
です
腎障害は10歳以上の猫の40%、15歳以上の猫の80%が患っていると報告されています。
骨関節炎(足腰痛い状態)の猫は、6歳以上で61%、12歳以上で90%と報告されています。
腎障害があり、骨関節炎がある猫は70%と報告されています。
痛み止め(非ステロイド・NSAIDs)は、その薬理学的機序から長期投与は腎障害にはダメなんじゃないかと考えられていました。
机上での理論に、実際の使用した結果から使ってあげても良いんじゃないですかという内容です。
これは人でも同様の研究があるようです。
メロキシカムの研究では、むしろ寿命が延びるかもっぽいことが示されています。(→論文へ)
少なくとも、腎障害があって骨関節炎がある猫に、痛み止めを使ったものと使わなかったものでは、使った方がクレアチニン(Cre、腎臓の血液検査項目、高いと悪い)の増加が有意に遅かった(悪く成りずらかったよって事)ようです。
そして、既存の報告より腎障害の診断後の余命(中央値5年くらい)が有意に長いようだと。
(昔より腎臓の治療薬が良かったり、手放しで痛み止め使えって事ではないかと思います)
想像するに、痛くて動きが悪い子は水の飲みも減るし、動かないと骨ホルモンが出ずらくなり老化が進むと思われます。
そういったことが痛み止めを使って改善すると、総じて健康寿命の延長に寄与する可能性はあると思います。
なので、痛み止めを使って明らかに動きや、生活が変わる仔は、もしかしたら積極的に痛みに対する治療をしてあげた方が良いのかもしれません。
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