小児科トップの方の若かりし頃の後悔、『誤診』を語っていたのですが。
子供の呼吸が止まったってことで、緊急対応だったのですが、息もしており諸検査も正常。
しばらく入院も、問題無しで母子ともに退院としたそうです。
その翌日、その子は亡くなったそうです。
お母さんが産後鬱で、手にかけたそう。
お母さんも首を吊って自殺、それは助かったようで。
子供の呼吸が止まったで来院した時、お母さんの首に『キスマーク』があるなって思ったそうです。
でも、気を留めることもなく。
検査して医学的に問題ないことを確認して、退院させて、『医学』的には問題なく、もちろん誤診ではないのですが。
緊急時来た時のおかあさんの首のあざは、一度目の首を吊って死にきれなかった痕だったようで。
後日、警察から初診時の様子などを聴取されたそうです。
診察内容等状況を説明した後、その時の警察官から
『先生はこのお母さんにどうなってもらいたいですか?』
と質問されたそうです。
先生は『元気になってもらいたいです』と。
『・・・そうですね』という、警察官の言葉に、この先生は、
お前があの時ちゃんと話を聞いていれば、この子は死ななかった!、
このお母さんはわが子を手にかけないで済んだんだ!、
なんでちゃんと診てやらなかったんだ!、
と責められていると、責められているのではないかと思ったと、それが今までの最大の誤診として後悔していると言った内容でした。
今ならこんな判断はせず、初診時にピンときて、お母さんとよく話、ちゃんと心療内科に送る手はずを整えると。
指導医になり、後進の医者にはこの体験と共に『小児科医は子供を治すだけでなく、親も治す(直す)必要があり、そのためには良く話を聞くことだ』と指導していると言っていた。
診察対象と、診察を受けさせたい人が違うということでは小児科も獣医科も同じです。
以前のブログに問診の重要性を書きました。
ともするとやはり病気だけを治そうとしてしまうのですが、本当に望んでいることは何なのか、病気を治すだけで良いのか、丁寧に判断しないといけないと改めて考えさせられた時間でした。
人医療と違う獣医療の壁があります、と同時に獣医療と違う人医療の壁があります。
獣医療だからできること、獣医療だからできないこと。
飼主が本当に望んでいることは、この選択で正しいのか、動物の為になるのか、医療観と生命観、または宗教観といったものを錬磨し、とにかくどんな状況でも『楽しく』あってもらいたいと想います。
医は仁ならざるの術、務めて仁をなさんと欲す
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